ケンブリッジ雑記帳2017-18

Cambridge Judge Business School (MBA) Class 2017-18に通う純ドメ日本人の備忘録。

ADTISスタート

月曜の夜のWelcome Party、昨日のAssessment&Interviewや事務手続き・PCアカウント立ち上げ作業等を経て、今日から本格的にPre-sessional Course(ADTIS)が始まった。

コースは全部で5週間くらいあるけれど、「これは単なる英語のコースじゃなくて学術的スキルのトレーニングだ」ということが強調されていた。単純に文法的に正しい英語で書けたり流暢にプレゼンをできるようになることを目的とするのではなくて、”Clarity”を担保した論文や発表ができるようにする、というのが目的ということ。

基本的には、レクチャーを受けてディスカッションをしたりするのに加えて、毎週エッセイやプレゼンテーションの課題が与えられる。今週は週末までに500~1000語のエッセイ(自分の専門分野の概念等についての説明)と、金曜の自己紹介プレゼンが課題。エッセイは毎週課されるけど、最終週は4000語書かなくてはいけないのでかなり重たい。先生との一対一のセッション(1時間)でフォローやフィードバックをもらいながら、アカデミックなしっかりしたアウトプットが出せるようになるというのが当座の目標になる。

コースにいるのは全部で70人弱くらい、それぞれの弱み等に合わせてクラスが4つに分けられている。基本的な内容や課題は一緒だけど、私のクラスはどうやらWritingにフォーカスがあてられているようだ。Writingはボロボロな自信があるので、ありがたい。

 

メンバーは、アジア人がマジョリティ。特に中国人が多い。もちろんほかにも、ラテンアメリカとかギリシャとか色んな国の人がいる。今日は夕食後にカレッジのバーで飲み会があったんだけど、初めてラテンアメリカ流の挨拶(頬をくっつけるやつ)をされてびっくりした。「ゴメンゴメン慣れてないよね、でも一定以上の距離に入るともう自動的にやっちゃうから止められないんだよねHAHAHA」とかいっていて、ラテンだなと思った。地域によって、一回で終わったり、最大で往復三回したりいろいろあるとか解説してくれた。

それから、どうやら今年は大学院生しかいない模様(大学生は別のコースなのか?)。MBAの学生が一番多い気がするけど、物理、化学、建築から文化人類学まで色んな研究をしてる人がいて面白い。

 

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とりあえず毎日Peterhouseの裏庭を伝って朝晩の食事を取りに行っている。裏庭は、芝生の間に小道が敷いてあって、よく手入れされた花壇や大木が道の脇にあり、とても気持ちがいい。毎日リスも見るし(結構でかい)、日本じゃ見たことない知らない鳥(やたら大きいオナガみたいのとか)もいる。今日はシュッとしたシルエットの鳥が芝生でぴょこぴょこしてるなと思ったら、こちらに気が付いたのかふっと飛び立って木の幹に縦にくっついた。縦になってみたらキツツキだと分かった。頭も赤くて、いかにもキツツキでございって感じの風貌だったので結構テンションが上がった。ただ、ケンブリッジでみられる鳥の種類を解説したサイトとかないかなと思って「ケンブリッジ 鳥」で検索したら、残念ながらケンブリッジ飛鳥しか出てこなかった(おとなしく英語のサイトを調べろっちゅう話か)。

 

しかし今日はめちゃめちゃ雨が降って、15度弱しかなかった。ユニクロのウルトラライトダウンを引っ張り出したけど風にあおられると震えるほど寒い。同級生と買い物帰りに耐えかねて乗ったUberの運転手さんが「いやーどうよこの天気。マジで晴れてるね」みたいな軽口を叩いていた。

ケンブリッジ到着

やっとこさケンブリッジに着いた。電車で一時間くらいの距離だけど、今回は荷物が巨大だったのでタクシーを手配した(それでもやっぱり一時間くらい、90ポンドちょい)。今はネットでなんでも手配できるから本当に楽。

 

サマースクール期間中は、Peterhouse Collegeの施設に泊まる。Peterhouseはケンブリッジ最古のカレッジで、創立はなんと1284年らしい。日本で何が起きた年か調べてみたら、北条貞時が執権に就いた年てのが出てきたけど、全然ピンとこないですね。

宿泊場所の建物自体はもちろんそこまで古くない。カレッジから少し離れていて、普段は学生寮として使われている模様。とはいえ、日本基準から言ったら古いし、シャワールームは6人くらい(女性)で共用のが1つだけ、シャワーブースは50cm四方くらいしかなくて超狭い。まあ生活に必要最低限の設備は整っているので、部屋では寝られれば良い派としては特に文句はない。

 

今日は街の構造を勉強がてら、ぶらぶらと自分のカレッジ(Jesus College)のあたりまで散歩をしてみた。Jesusは広くて、美しく整えられた芝生を花壇が取り巻いていてとても綺麗。イギリスのガーデニングに対する執念は半端ない。天候が曇りがちで、建物も古くて見た目のバリエーションがなくて、そのままだと陰鬱な感じになるから、青々した芝生や色とりどりの花壇で気持ちを持ち上げるんだと思う。その辺で食べた簡単なランチ、わずか4ポンドでパン付のスープだったんだけど、これがびっくりするほど美味しくてこれからの食生活に少し期待が持てた。

 

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Jesus CollegeのMain Court(たぶん)。花が凄く綺麗で写真撮り回ろうかと思ったけど雨が強くなったので逃げ帰ってきた。

 

ロンドン到着

フライトを終えてようやくロンドンにたどり着いた。もちろんエコノミークラスだけど、受験期間中に2週間で2回日英間を往復したときよりは百倍マシだった(もう二度とやりたくないし、受験中のぶっ飛んだテンションじゃないとできない)。

今回は観たい映画がたまっていたので4本も消化(ラ・ラ・ランド、スポットライト、美女と野獣、オデッセイ)。とはいえオデッセイは日本語字幕が付いておらず、心の準備だと思ってそのまま観た結果案の定かなりわからず不安が増したところ。もう腹くくるしかない。

あと、個人的にフライトシュミレータを観るのが好きなんだけど、今回機材の調子が悪かったのか途中からブラックアウトしてた。ただ、ロンドン上空は綺麗に雲が切れて、ロンドンの街が一望できた。

 

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テムズ川とロンドン橋

 

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 バッキンガム宮殿

 

赤茶けた屋根の同じサイズ・同じ形の家が道沿いに整然と並んでる様を見ると、異国に来たんだなあという感じがする。

 

警戒していた入国手続きはあっけなく終わった。質問はビザの種類は? どこの学校? なんのコース? くらいだった。

1時間半くらい並んでの入国だったから、入国審査官も早くさばきたかったのかもしれない。荷物受け取りに行ったら、入国に時間がかかり過ぎたせいで、もはやターンテーブルの番号が掲示されていなかった。係員に聞いたら、電光掲示板を観てとのすげない反応。それを見ても出てないから聞いたのに…。結局端から端まで探し回って、一番向こう端のテーブルまで行ったところで見つけた。

 

ちなみにネットと電話は、Giffgaffという格安SIMを事前に日本で取り寄せてアクティベートしておいたので、空港に着いた瞬間から開通している。もっとも、空港で他のSIMを自販機購入することもできる。日本の大手キャリアと違って契約もシンプルで月額5ポンドからあるし、ネット使い放題で通話もかなりついてるプランでも30ポンドしないし、安い。契約期間縛りとかもない。いやー便利な世の中になった。

 

今夜はロンドンに一泊して、明日ケンブリッジに移動する。ここ1週間はまた単身生活になることもあってかなりナーバスで、明らかに不安>>>楽しみさだったけど、着いてみたら吹っ切れた。明日からいきなりサマースクールのウェルカムパーティーがあるので、とりあえずテンション上げていきたい。

履歴書の自動添削サービス(VMock)

ビジネススクールMBA)は高等就職専門学校とも揶揄される。私は社費派遣なのであんまり意識してないが、ほとんどの学生は(起業含む)キャリアチェンジを主目的に入学するはず。ケンブリッジでいえば、学費は年間50,000ポンド超、そこに生活費もろもろがかかり、かつ私費の場合は会社を辞めてくるわけだから、多額の投資に見合ったリターンを上げなくちゃならないのはその通りだと思う。

そんなわけで、Financal Times等の学校ランキングでは就職実績や給与上昇率などが問われることもあり、学校側もキャリア支援サービスに積極的。昨日は入学前にキャリアチームのメンバーと話をしましょう、ということで20分前後のSkypeセッションがあった。

こっちは「社費なので職探しは出来ないんですよね」と言ったところ、「卒業後の拘束期間は何年?そのあとは色々オプションあるんだから是非活用してね」と宣伝された。これまでのキャリアの棚卸とかにも使えそうなので、せっかくなのでフィードバック面談とかは色々使ってみようと思う。

 

そんなキャリアサービスの一環に、オンラインでの履歴書の自動添削サービスがあった。これはVMockというベンチャー企業が立ち上げたサービス(https://www.vmock.com)。ビジネススクールとの法人契約を中心に活用されているようだ。入学後にはしっかりしたキャリアカウンセリングも受けられるが、現時点ではとりあえずこれを使ってCV(履歴書)をブラッシュアップしてこいという趣旨だ。

使い方は、ログインして、PDF化したCVをアップロードするだけ。至極簡単。そうすると、1分程度のローディング時間のあとで、そのCVの評価(スコア)とずらずらっとした添削のようなものがオートマティックに出てくる。

例えば、一般的なCVの形式に沿っているか、同じ単語ばっかり使っていないか、具体的な数字等を使って職歴・スキルを説明できているか、などがチェックされている。また、スキルや経験をアピールできているかについては、"manage", "led", "collaborate"などの単語が使われている回数などからスコアを弾いているらしい。機械的だけど、形式面だけじゃなくて一応内容面も見てますよということのようだ。全体だけではなくて1パラグラフごとにフィードバックも出てくる。

私の履歴書は結構高スコアだった。まあ、MBA受験用に作ったものに直近の職歴を追加したものなので、ほとんどの部分は本職のカウンセラーに高いフィーを払って添削してもらったものだから、それなりのスコアが出ないと困る。ただ、CV(ひるがえればその裏側経験・スキル)が実際どの程度魅力的なのか、というところの判断は、このサービスじゃ限界がある。最低限のところはこのサービスを使って整える、という意味では、キャリアチーム的には生産性が上がって便利なのだろう。

ちなみに、このシステムは日本じゃなかなか適応が難しいし、ニーズも薄いんだろうなあと思う。そもそも新卒採用がメインだし。欧米の履歴書はフォーマットがほぼ統一されてて、かつ仕事で実際にやってきたことなどを具体的にいろいろ書く、というところで応用の余地があるんだと思う。が、AI(?)の技術がこんなところにも来てるんだなあということで、なかなか面白かった。

ケンブリッジ&オックスフォードソサエティ

壮行会と称した飲み会のスケジュールをぎちぎちに詰めている今日この頃だが、そんな中で少しフォーマルなCambridge & Oxford Societyのパーティに参加してきた。

このコミュニティは東京の両校出身者で組成するOB会で、基本的には両校を卒業した後に加入可能になるらしい。今回は今年渡英するメンバーのSend off partyのような形で開催していただいた。

ちなみにCambridgeとOxfordは良きライバル関係にあり、ボートレースでの勝敗に皆が盛り上がったり、相手を(半ばネタで)くさしたりといった関係にある。この会では両校の記載順がCambridge→Oxfordになっていて、略称も「Camford」が使われているが、Oxfordを前に持ってきたOxbridgeというのもあり、むしろそっちのほうがメジャーかもしれない。このへん、慶應と早稲田の関係に似ているとも言える(一般的には早慶戦というところ、一部の慶應生は慶早戦という呼び方にこだわったりするように。恥ずかしながら私もそっちですが)。

 

今回の会では、30年近く前に留学されていた大先輩方も多く、色々な昔話を聞かせて頂けた。これまでお会いしたOBはMBAの卒業生がほとんどだったし、学部卒の方には会ったことがなかったので新鮮なことも多かった。

特に面白かったのはネイティブの学部卒の方々の話で、一人は古典専攻ののちに会計士に、一人は英語専攻(古文とかをやったらしい)の後に法律家になっていた。イギリスでは学部の専攻とその後のキャリアが全然違うのは普通のことらしい。日本も比較的専攻と就職は関連が薄いと思っていたけど、さすがに文学部から士業にというのは珍しいと思う。「専攻を選ぶ時は若いし、つまらんキャリアのことなんて考えたくないから好きなこと選ぶんだよね」という趣旨のことを仰ってて、それはごもっともだと感じた。自分は趣味に走るなら近代文学を研究したかったけど、高校生当時は弁護士になりたいと思っていたから法学部に行ってしまった。結果としては法律も楽しかったので良かったけど、英国流も羨ましいなあと思う。

それから、両校にはカレッジ制がある。詳細はまたどこかで触れるが、在校生は大学の一員であると同時にカレッジにも所属する。通常の学生や院生は、大学自体の試験を受ける(アプライする)のではなく各カレッジにアプライする。MBAの場合はビジネススクールから合格をもらったあとどこかのカレッジに入る形になるが、それでもどこでも入れるわけではなくて一定の選考がある、といった感じ。この仕組みについては「ハリーポッターの寮(House)みたいなもん」というざっくりした理解をしていたが、実際にBoarding School(全寮制学校)に通っていた方からすると、Houseに比較すればカレッジの縛りや帰属感はだいぶ緩いらしい。年齢が低くてコミュニティが狭いことなどもあり、Houseがどこになるのかというのは本当に大きいそうだ。ちなみに、「現実だと組み分け帽子はないけどどうやってHouseが決まるのか」と誰かが聞いたところ、笑いながら、その前の学校の推薦等で決まるのだと教えて頂いた。

 

渡英が近づいてきて不安も増しているが、渡英後の生活やコミュニティの感じが垣間見えて少し楽しみが増した。明日はMBA卒業生の方が開催してくださる壮行会もあるので、こちらも楽しんできたい。

はじめに

今夏から英国ケンブリッジ大学に留学し、MBA取得に向けて勉強することとなった。留学期間はわずか1年、放っておくと日々の出来事に忙殺されていつのまにか時間が経ってしまいそうなので、備忘録兼日本にいる身内向けの消息通知として本ブログを立ち上げることとした。

先人の方々のこういったブログには特に受験プロセス中に助けられた。役に立つブログになるかどうかわからないが、リアルで知らない方もご覧になるかと思うので、簡単に留学の概要や当方のバックグラウンドを記しておく。

留学の概要

・留学先:Cambridge Judge Business School。いわゆるケンブリッジ大学MBA
・期間:2017夏~1年間
・行先:イギリスのケンブリッジ(受験するまで私も知らなかったが、ケンブリッジ大学はロンドンにあるのではない。ロンドンから1時間ほど電車で北上した場所にケンブリッジという学生都市がある。イメージ、日本でいうところの筑波みたいな感じである。)
・9月半ばから本プログラムが始まるが、8月の頭からPre-sessional Course(大学が提供している語学強化用のプレスクール)に通う。

バックグラウンド

・金融機関に勤めており、社費派遣。
・いわゆる純ドメ。海外経験は、旅行と、仕事上でいくつか海外顧客・利害関係者との案件を手掛けた程度。
・既婚アラサー女性、単身で留学。


さて、イギリス留学の消息記といえば私の好きな夏目漱石が書いていたものがあり、彼を見習って……と言いたいところだけど、漱石は留学ノイローゼに陥り2か月しか日記をつけていない。そうならないように頑張りたいと思います。